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天野喜孝に聞く(J通訳つき)
Yoshitaka Amano talk with Nozomi Omori

人気イラストレーター天野喜孝さんのインタビュー。カメラは持ってたんですが、プロジェクターで画像を上映するために場内が暗く、あきらめて撮りませんでした。でも無理にでも撮っとけばよかった…ムンクの『叫び』の物真似をする天野喜孝さん、なんてめったに見られませんもの。(笑)

お話は、アニメーター時代から始まって現在までのキャリアを順番に。予定されていた通訳さんが現れず、客席にいた方が臨時で通訳をしてくれました。通訳としてはプロかセミプロの方のようでしたが(ワールドコンはスタッフも通訳もすべてボランティアです)ジャンルが専門外なようで、固有名詞など聞き返す場面が多く苦労なさってました。…言葉を直訳するのでなく、意味を別の言葉で翻訳するというタイプの方でしたので、まずはご自分が理解しないと…。そのためかしばしば「通訳さんに詰問される申し訳なさそうな天野さん」…という場面が展開しました。だんだんみんなで通訳さんに気を遣うような空気に…(笑)。でも、海外組の観客は多かったので、ほんとに助かったと思います。

…今でこそ、多彩ながら一目で天野さんとわかるスタイルをお持ちですが、もともとは自分のスタイルを仕事に持ち込むのでなく、持ち込まれた仕事からスタイルができていく、というタイプなのだそうです。興味深かったです。

アニメーターからイラストレーターに転身して持ち込みを始めた当初は、いろんな画風で描いていたことで、どれが君の画風なんだ、と言われてマイナス面とみなされたとか。そういうものなんですねえ…。

最後の質疑応答では、外国人参加者さんが「目がハート」な感じで(笑)、監督作『ユメ十夜』(オムニバスの一作であるCGアニメーションを監督なさった作品。恥ずかしながら知りませんでした…(^ ^;))についてとか、次のアメリカでの画集出版予定を聞いてました。海外でもほんとに人気があるんですね。日本語で質問したり、日本語の会話に相槌を打っている方もいて、ちょっと新鮮でした。テレビなんかで日本ブームとは聞いていましたが、こう目の当たりにすると…。なんだか「広がり」を感じて、いい体験でした。

 

男の子はなぜ飛行機をつくるのか(J通訳つき)
Why do Boys Make Flying Machines?

某有名アニメ映画で風の谷を飛び回る空中滑走機を、実際に作っちゃいました…という研究発表。すごい!実物がホールに展示されてたそうですが、残念ながら見られませんでした。

時間の関係で最初の方しか見られませんでしたが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくるエアーボードも実際に作ったということで、実験風景のビデオ(実際に乗って遊んでいる!)を見られました。すごいとしか言いようがありません…しかもタイアップの仕事とかじゃなくて完全に遊びだというところが…!(笑)

 

サイエンスとサイエンスフィクションの最前線、そして未来へ!(J通訳つき)
Front Line of Science and SF

一番期待していた企画。なんと五時間にわたる、ロボット研究者の発表・SF作家への提言と、研究者・SF作家をまじえたパネルディスカッション。実際ものすごく面白くて、途中退席する予定だったのに最後まで見てしまいました!



Hideaki Sena (Host)
He is a scientist and a writer.
And somehow he is one of my idols.

主催・司会進行の瀬名秀明さん。つんつるてんのユカタがかわいかったです。著書はろくに読んでないくせに、なぜか彼は私のアイドルの一人なので(笑)いっぱい激写…するつもりだったんですが、全部ブレてました…(泣)

顔写真は雑誌などで拝見する機会がありますが、実際に見てみるとわりと体格の大きな方でびっくり。穏やかな語り口ながら、臨機応変なおしゃべりがお上手なのも意外でした。

 

テーマはこんな感じ。最後にある随時コーヒーサービスというのは、手を挙げてフレミングの左手の法則(…高校でやりましたっけ?)をやると、カフェサイ(カフェ・サイファイティーク。白衣を着た本物の博士さんたちとお茶を飲めます、というフェチな喫茶店企画。行きたかったんですが時間が取れませんでした…)から応援に来た、アレなメイド姿(ミニスカートにガーターベルト(笑))のきれいどころが、座席までコーヒーを持ってきてくれるというもの(笑)。

試してみたかったんですが、勇気が出なくて休憩時間に自分でもらいにいきました。

 


Sakyo Komatsu

小松左京さん。「文楽人形からの発想はないの?」とか新鮮な切り口で発言。ご体調管理もあってか早々のご退場でしたが、拍手で送られていました。

 


The evolution of Honda's famous robot, ASIMO.

ホンダのアシモの進化。

 


The first robot that won Seiun award.
He was given a small land of Mars as an additional prize.
So he is also the first landowner robot on the Earth.

ロボットで初めて星雲賞を受賞したというHRP-2さん。火星の土地が副賞だったそうです。地主のロボットというのも史上初でしょうね。(しかも火星(笑))
こういうユーモアが随所に見られて楽しかったです。


…なんて感じで撮ってたんですが、スライドを撮ってるときりがないので途中でやめました。(笑)研究は上記のようなロボットそのものだけでなく、人間の筋肉の運動キャパシティ(?)をシミュレートすると、動き方をインプットしなくてもだんだん胎児から赤ん坊、やがてはハイハイそっくりの動きになっていくとか、バラエティーに富んでて飽きませんでした。

ただ、ひとつ「?」と思ったことがあります。
発表をなさった方の一人が、今、次の研究テーマがなくて困っている。テーマさえ与えられればなんでもやってみせるのに…という趣旨のことをおっしゃっていたんですね。すごく前向きな言葉だし、実際前向きな姿勢と、このジャンルの活気を反映しているのだと思います。

だけど、シロートの自分には、「未解決の研究テーマはたくさんあるじゃない!?」と思えてしまって。たとえば、よくロボットの現実での活用として取り上げられる介護用パワードスーツは、大きさといい、価格といい、素材といい、ぜんぜん現実的じゃありませんよね。もっと軽く、低予算で作れる高性能な、「実際に人の役に立つ」もの…という方向は、最先端の研究現場では眼中にないのだな、というのが強烈に伝わってきて、ちょっと違和感を覚えました。

もちろん、一口にロボット研究といっても細分化していますし、大学の研究というものが、即実用に供するためのものばかりでないのはわかります。「底辺を上げること」と、「最先端をもっと先へ」、というのでは、アプローチする「場所」が違うのでしょう。「実用」などという大衆的な研究は商業レベルで、企業がやるもの…ということなのかな。(^ ^;)



All scientists and SF writers. (At the end of the program.)
It was sorry that they hadn't enough time to discuss.

最後のパネルディスカッション。発表のほうでだいぶ時間が押してしまい、研究者さんが出した提言がほとんどディスカッションに活かされなかったのが残念でした。発表ごとに提言があったので、最後ではほとんど忘れているし…(^ ^;)。

でもこういう企画を傍聴できるのはほんとに貴重ですよね。夢中で見てしまいました。こんな「おなかいっぱい」な企画が見られるなら、来年の大阪の国内SF大会も行ってみたいなあ…とか思うのですが…。

 

ヒューゴー賞受賞式(E、J)
Hugo Awards Ceremony


The opening of the ceremony was the Ultraman show.

ヒューゴー賞受賞式。ちょっと遅刻して会場に入ったんですが、舞台ではウルトラマンショーをやってました。

後ろから二列目の席だったので、全体に写真がボケボケです。
スミマセン。

 


George Takei (Host)


George Takei and Nozomi Omori (Host)

司会のジョージ・タケイさん。
写りのいいのがなくてすみません…。(^ ^;)
持ちネタになってたのが、なぜか日本語で「ジサボケ」。アクシデントはすべて時差ボケのせい。(笑)

翻訳家の大森望さんと二人で、英語と日本語での進行でした。台本が入れ替わったふりをして、ジョージさんが日本語、大森さんが英語をしゃべるというギャグもあり。

あと、女性の声優さん(お名前を失念しました…!オープニングセレモニーとクロージングセレモニーでも司会をなさってたんですが…)が加わりました。ジョージさんに色目(?)を使って、ジョージさんが「あなたには僕はダメです」(ぺらぺらだけどやはり英文和訳?)と返す、というギャグもやってました。カミングアウトネタ?…大らかですね。(笑)。

最近のジョージさんのニュース。小惑星に彼の名前がついたそうです。おめでとうございます!→惑星をゲットのニュース

 


Some winners wore Kimono or Montsuki.
This is Naomi Novik. (the winner of John W. Campbell Award
for the Best New Writer in Science Fiction)
She was wearing a beautiful Furisode. Cute!

賞の対象作は英語圏の新作で、当然ほとんどが未邦訳。ワールドコン参加者には投票権が与えられますが、私は映像作品しかわからないので投票しませんでした。

当然受賞者も海外の方ですが、着物や紋付を着てる人もいました。企画の中に着付け教室もあったので、そこで着たか、スタッフに着せてもらったのかも。この振袖姿の女性はジョン・W・キャンベル新人賞を受賞したナオミ・ノヴィクさん…だったと思います。嬉しそうですね♪

 


Ultraman and Ultraseven show the Hugo award trophy.

ウルトラマン大活躍。
ヒューゴー賞トロフィーを披露するウルトラマンとセブン。
台座製作は海洋堂、とのアナウンスにどよめきが。

 


The trophy, and the colored Ultraman
made from the same mold.
It's Kaiyodo's beautiful work.

翌日、展示ホールで撮影したヒューゴー賞トロフィーと、台座に添えられたウルトラマンと同じ原型から作ったという彩色フィギュア。(撮影許可はいただきました)彩色のほうは販売してました。

ヒューゴー賞トロフィーは、ロケット部分は伝統的に同じ型から作り、台座だけ毎年担当した実行委員会が制作するそうです。今年のは富士山とウルトラマンをあしらってあります。

 


Maybe this is the proxy of Frank Wu (fan artist winner)
wearing his big mask.
I took other winner's photos too.
But I can't tell which photo is who... so I don't post them.
Anyway, most winners were absent and their proxies received the trophies.

やはり遠隔地(英語圏の方にとっては)の開催だったせいか受賞者には欠席が多く、代理人がトロフィーを受け取る場面が多かったです。お面での代理受賞は、お面の長髪からたぶんファン・アーティスト部門で受賞したフランク・ウーさん…だと思います。

ほかの受賞者さんも一通り撮ったんですが、見返してもどれがどなたやらわからないので割愛。(^ ^;)

 


Ultraman appears again as a presenter...

ウルトラマンはプレゼンターとしても登場!
でもしゃべれないので一瞬進行が止まり、
「…えっ、オレ!?」
というジェスチャーで笑いをとりました。

私の後ろに座っていた海外のおば様が、いちいち言葉に出して反応してくれててわかりやすかったのですが、ウルトラマンには
「Because he can't speak!」
と叫んで笑ってました。(海外でも有名なんですね…)
足の間にチビロボットが来てるのが見えるでしょうか…彼が受賞者の名前が入った封筒を持っています。くだんのおば様は、
「後ろ!後ろ見なさいよ!」と(英語で) 叫んでいました。(笑)

 


...and he was given the envelope from a mini robot.

チビロボットから封筒を受け取るウルトラマン。

 


He pass it to George Takei, because he can't
speak words but "Jowa!"

…でも読めないのでジョージさんへ。

効果音「ジョワッ!」(場内爆笑)

 


Yes, he can clap.

拍手はできます。(笑)

 


After the ceremony, I enjoyed the night view.
Many people were taking photos there.

実授賞式が終わり、外へ出るとこんな夜景が。みなとみらいの観覧車です。みんな記念撮影してました。

 

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