テッド・チャン情報メモ

Stories of Your Life and Others再版と新刊準備情報
(2010/2/3)

アメリカの洋書の話ですが、二、三年絶版になっていたらしい"Stories of Your Life and Others"(『あなたの人生の物語』原書)が、今年10月にSmall Bear Pressから再版(というのかしら。出版社が変わりますけど)されるそうです。アナウンスはこちら。

→Small Beer Press / Not a Journal / Ted Chiang

Small Bear Plessは、以前チャンさんのショートエッセイが掲載されてご紹介したZine、『Lady Churchil's Rosebud Wristlet』を出しているところで、日本でも著書が翻訳されている作家のケリー・リンクさん(と、たぶん旦那様?)が経営している出版社です。
今度はきっと、チャンさんの希望どおりの表紙で出るのでしょうね…。というのは、載っている画像が、チャン氏が最初のバージョンの表紙イラストがあまりにひどかったので(例の、なぞの巨人?の描いてあるもの。たしかに内容とまったく合ってなくてひどい!(^ ^;))、チャン氏が別に自費で、アイデアも出して発注したというイラストが使われた表紙だったからです。

イギリスなどではこのイラストが使われたそうですし、アメリカでもその後の刊行ではこのバージョンがあるのかもしれませんが…そのへんの出版社との攻防…(自費発注のイラストは拒否されて、「そこまで言うならイラストなしにするぞ」と言われたそうで…実際ロゴだけのバージョンが出ているんですよね。お~こわ。(^ ^;))…の印象があるので、良い状態で再版されるならほんとによかったな、と思います。

でも、そのへんを知ったときは、「泣き寝入りしない」姿勢に感銘を受けまして、見た目の「草食系」っぽさとはまったく違う、強い(でもある意味ナイーブな)内面を持ってる方だな、という印象を受けました。
(しかも相手はSFでは大手の出版社だったそうなので、よけいに…。まだ刊行一冊目の作家さんが、そういうことをするのはかなり勇気がいっただろうし、ものすごく傷ついたと思います。

…じつは自分も、ぜんぜん違うレベルですが、漫画の某大手出版社に投稿したとき、賞金の振込みを踏み倒されそうになったり(直接やりとりしていた編集者がいいかげんな人で埒があかなかったので、編集部の別の人に直接電話して解決し、それ以降はこちらから縁を切りました。もうあんなことはいやっ!(^^;))、別のところでは原稿を返してもらう約束を踏み倒されたり(こちらはそのままつぶれて音信不通になってしまったので、とうとう戻りませんでした…(怒))…とひどい目にあった経験があったもので、かなり同情してしまいました。

…水物商売はいずこも同じ…?なんてへんな割り切り方は、業界に失礼というものです。小さい出版社でも、ちゃんとしているところはちゃんとしていますから。
(ええと、ちなみに自分自身、漫画ではないですが小さい出版社の事務をしてました。著者への振込みや掲載誌・見本誌の献本発送を期日までに済ませる…みたいな「つまらない仕事」は、逆にできてあたりまえの、最低限の常識でした。著者が若かろうがお年寄りだろうが関係ありません。できてないとしたら、事務処理全般がルーズな会社だとしか思えません!会社の品格って、こういうところに表れるものではないでしょうか?)

…ちょっと激して話がずれてしまいました。すみません…。(^^;)
とにかく、すでに翻訳書で読んでいるので原書を買う必要は感じてなかったんですが、そういうこと(表紙にチャン氏のアイデアが色濃く反映されてるとか)なら、ほしくなるかもなあ…なんて思います。ミーハーとしては(笑)

(…Small Beer Pressのような、書き手が流通まで携わっているのって、なんだかいい形態ですね。同人誌のよさと商業誌のよさが両方ありそうというか。作家の立場を心得ている方が運営しているなら信用できそう、というか。もちろん、水物な出版業と、精神的にクソぢからがいる(失礼(^^;))創作業を両立するのはすごく大変なはずで(同人誌は本質的にはやってることは同じですが、人を雇って会社として経営するとなれば、社会的責任もプレッシャーも、必要な労力もまったく違います)、やってる方にとっては外野が思うほど「イイ仕事」じゃないかもしれませんし、なんにつけ「やる人次第」ではありますが…。 でもやっぱり、ちょっぴり憧れてしまいます(笑))

・・・しかし、「この本のために今100ドル払うのはちょっと待った!10月まで待って16ドル払ってくださいね!」(ちょっと意訳(笑))なんて…中古の価格がかなり高騰しちゃってるんですね。
中古でいくら値が上がっても作家さんにはまったく還元されませんから、やはり再版のほうがいいですね。読み手だって無駄に高い買い物しなくてすみますし。

あと、新刊のほうは、Subterranean Press.に原稿を渡したところ、みたいなことが書いてあるので、こちらも今年あたり出そうですね。Subterranean Pressは、たしか"The Merchant and the Alchemist's Gate"を出したところですよね。長めの話…というのは、きっと韓国で抜粋を朗読したという"The Lifecycle of Software Objects"のことでしょうね。うわあ楽しみ!でも、長めの話を原書で読む自信はないなあ…
日米同時刊行、くらいできませんか。ハヤカワさん!
(切に願います!(涙目))

 

インデックスへもどる

HOMEへもどる