テッド・チャン情報メモ

未読で覗いてくださった方へ/テッド・チャンについて
(※このコーナーを作った頃に書いたものです。更新できてなくてすみません)

テッド・チャン(1967~)は、アメリカのSF作家です。
作品はいまのところ短編ばかり、しかも寡作ですが、すべて当たりといっていい作品ばかりです。受賞歴もとても多いです。(追記・再新作は「中篇」です。これから長いものも書かれるかも知れません)

SFジャンルで評価されているのですが、自分の目には、SF的な予備知識を読者に求めない、とにかく美しい物語、に見えます。 (自分自身、SF的なものはいろいろ好きなほうですが、特化した「SF読み」でも「小説読み」でもありませんので、わりと一般人(?)の目で読んでいると思います)

たしかにSF的なモチーフを使った物語ばかりなのですが、そのなかで描かれるイメージ、心理などが、とても繊細だったり、美しかったり、ある意味ロマンティックだったりします。SFというと想像されるような、オトコノコ受けのいいガジェット重視は感じられません。(すごく独特のガジェットも出てくるにもかかわらず)
そのためか、最初読んだときは「女性が男性の名前で書いてるのかも」と思ったくらいです。でも普通の意味の「甘さ」は感じません。そこが絶妙な匙加減というか、独特なものを感じるところです。

同人誌のつながりで覗いてくださった方には腐女子系の方が多いと思いますが、「硬質なモチーフでうっすらと耽美が匂う」という、昔風の(?)あたりがお好きな方には、とくにおすすめしたいです。(というのは、自分がそうだからです。腐属性ですがいわゆるBLは読めないほうです。(^ ^;))
あちこちで書きましたが、とくに『理解』は「ある意味で」極上の耽美小説で、そちら系の方におすすめしたいです。(「耽美」の捉え方にもよるので、自分の基準では、ですが)

ただ、モチーフも雰囲気も作品ごとに異なるので、一言で「こういう感じの作風」とご紹介するのが難しいです。共通項をムリヤリ言葉にするとすれば、ウェルメイド、とでもいいましょうか。そしていい意味でとても知的で上品です。(誤解を招くかもしれませんが、作品の美しさを味わうのに予備知識を要求「されない」という意味で、品がいいと思うのです。もちろん予備知識によって違うイメージが捉えられることはあると思いますが、非理系の自分が充分ハマれてしまいましたので)
テレビドラマや映画など、SF的なモチーフはポピュラーになっている今、とくにSFというジャンルの枕詞はいらない作品群だと、自分は思います。

現在本屋さんで手に入るのは、ハヤカワ文庫の『あなたの人生の物語』のみです。その後発表されたものは月刊誌のSFマガジンに掲載されましたが、翻訳の単行本にはなっていません。
(追記・時間SFアンソロジー『ここがウィネトカなら、きみはジュディ 』に、『商人と錬金術師の門』が収録されました。また、英語でなら数作品がネット上で読めます)

いくつかの作品については感想を書いております。お手にとっていただくきっかけになれば幸いです。

テッド・チャン情報メモインデックスへもどる