テッド・チャン情報メモ

Kindleさまさま♪
(2010/11/14)

"The lifecycle of software objects"、kindleのおかげで読みやすくなりました。…kindle版が販売されてるわけでも自炊したわけでもなくて、発行元のsubterranean pressのサイトに、なぜか全文(に見える)掲載されているのを見つけたのですよ…い、いいのかこんなことして?8月に出たばかりぞ…?(汗)

…思えばチャン氏の作品はウェブで読めるものが多いですよね。今回のなんか版元サイトで公開してるので、出版社としてどういうポリシーなのかよくわかりませんが…。アチラのSFギョーカイでは普通なんだろうか?
とにかく「いちおうハードカバーを買ってるし、い、いいよね?(^ ^;)」ということで(?)恐る恐る頂戴して、テキストファイルにしてkindleに入れました。(これが日本語の本で、千数百円出して買ったあとにネットで全文タダで読めるのがわかったら、ちょっとハラが立ったかも(笑)。今回はkindleで読めるデジタルテキストが手に入るのはありがたい!というほうが勝ってますけれど)

カーソルを置けば意味が出るという辞書機能のおかげで、ずいぶん読むのが楽になりました。 今までは机の上で本と電子辞書を広げないと読めなかったのが、寝っころがっても読める!当然、「ちょっと読もう」というハードルが低くなって、やっと「英文講読」から「読書」に近い感じになってきました。

kindleはデフォルトでは英英辞典しか入ってないので、英辞郎kindle対応版を入れました。すごく便利です。(欲を言えば、慣用句もキーボード入力じゃなくて、カーソルで選択して一発検索できるとありがたいんだけどな…)

テキストファイルは朗読機能も利くので、リスニングができればオーディオブックとして楽しむこともできます。すごすぎる!ワタクシはオーディオではまったく歯が立たない英語レベルなので、「いま読んだところを音声で聴いてみる」という英語学習のノリですが、意味を調べたばかりの単語が入った文章を音声で聞けると、なんかコトバとしての臨場感が高まるような気がします。

これまでは、こういうアプローチをするには、学習用に細工して販売されてるものを買うしかありませんでした。でもkindleを使うと、好きな作家の作品で英語学習できます。贅沢ですね。やる気が全然違うというか、学習という気分ではないです。もっとナチュラルに「知りたいことを知る」感じですね。

そういえば、英語でならただで読めるものっていろいろあるんですよね。とりあえず思いついたところで…コナン・ドイルせんせの"Through the magic door"とか、それに載ってたドイルせんせのお気に入りのマコーレーのエッセイとか…グーテンベルクを見てると、そういうものがあっさり出てくるので、さっそくダウンロードしました。
『モーリス』の作者E.M.フォースターの作品で気に入っている『果てしなき旅』(The longest journey)もあったので、こちらも。英語で読み通す覚悟はさらさらないですが(笑)、ちらっと参照できると思うとすごく嬉しいです。先に翻訳で読んだものなので、勘が働いて読みやすいですし。

話がテッド・チャンからずれちゃいましたが…"The Lifecycle..."は、「うーん、本当のライバルはジャックスだと思うぞ、デレクさん…」と突っ込みをいれたくなってるあたりを今読んでます。(読んだ方にはおわかりいただけるかと(笑))

レビューを拾い読みすると(ネタバレを避けたいのでがっつりは読んでません)、「いいことはいいんだけど…」的な、ちょっとイマイチな感想も散見されるのですが、部分的に頷けます。最近意識したのですが、これまでに読んだチャン氏の小説って地の文に魅力があるものが多いんです。(私見なのでそうは思わない方ももちろんいらっしゃると思いますが…)で、そのつもりで読むと、今回は地の文がわりと普通っぽいというか…へんな言い方ですが「普通の小説みたい」なんです。いろんなアプローチを試す方らしいので、バリエーションを増やしたという感じかもしれませんが。そのへんが「あらかじめ"チャン節"を期待している」読者からすると、肩すかしと感じられるかもしれない。「普通の小説みたいな文体って、それで充分じゃないか」、と思えないのは、これまでの作品のレベルに慣れちゃったからで、要するにもともとの評価が高い作家さんゆえの要求ともいえるかと。…レビューを書いてる方はそういう意味で言ってるんじゃないのかもしれませんが…今のところの自分の感想です。最後まで読んだら、あらためて感想を書こうと思います。

(だいたい英語で読みきったのは"Exhalation"だけで、そこからの印象ですので…あれはほんとに、ある意味詩のように感じましたから!あとは邦訳で読んだので、訳者さんのセンスのよさを原文の魅力に繰り込んじゃってる部分があるかもしれません。『あなたの人生の物語』の文体など、ほんとに翻訳した方のセンスを感じます)

*追記とリンク*
…作品テキストのページにリンク張っていいのかしら、と躊躇してたんですが、どうやらこの版元が発行してる無料のオンラインマガジンという体裁のようです。 アレコレ登録も必要なく、ホームページからクリックすれば読めちゃうので、リンク張っておきます。 慣れないと後ろめたいなあ…(^ ^;)コンテンツの使いまわしのサイクルが速いんですね。

http://subterraneanpress.com/index.php/magazine/fall-2010/fiction-the-lifecycle-of-software-objects-by-ted-chiang/

 

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