『ある日どこかで』 Somewhere in time


あらすじ
脚本家のリチャードは、スランプから気分転換の小旅行に出かけます。
ふと立ち寄ったホテルの資料室で、彼は美しい女優の古い写真に釘付けになります。
彼女の名はエリーズ。リチャードはなにかに憑かれたように、彼女のことを調べ始めます。
そして、学生時代の彼に古い懐中時計を渡し、
「Come back to me.(私のところへ帰ってきて)」と
謎の言葉を残して去った老女が、じつは彼女であったことを知ります。
リチャードは狂おしい思いに駆られ、時間を超える理論を説く大学の恩師を訪ねます。
そしてリチャードは”思い”によって時間を超えます…

個人的に、非常に思い入れのある作品です。
というのも、長いこと映画そのものを見る機会がないまま、テーマ曲が大好きだったのです。
二十年以上前に、ラジオの映画音楽番組で録音して以来、忘れられなかった美しい曲です。
曲名と、映画音楽であるらしいことしか知りませんでした。

数年前に書店で原作を発見し、それから念願だった音楽そのもの、映画化されたもの…と
突きとめていく過程にはちょっとしたシンクロ体験(?)もあり、めぐり合わせを感じました。
リチャードがエリーズを追い求める過程もこんな感じだったんじゃ…と思います。(笑)

主演のクリストファー・リーブは、一見愚直なまでにストレートに”時間を超えた一目惚れ”を演じています。
設定の違いもありますが、彼のリチャードは小説より明るいイメージです。しかし非常にナイーブなキャラクターです。
自分自身古い映画など見て、故人に恋患いしてしまうことがよくあるので、彼には感情移入しやすかったです(笑)。


映画作品としてはけっして大傑作とはいえませんし、センチメンタルすぎる感もあります。
それでいながら、素直に見てそっと大事に取っておきたくなるような、チャーミングな映画です。
(男性ファンがけっこう多いと聞いて意外でした。案外男性ってロマンチストなんですね(笑))
脚本を書いたのは原作者のリチャード・マシスン。
印象的な音楽はジョン・バリーです。

『ある日どこかで』DVD
クリストファー・リーブのイノセントでストレートな演技が、シンプルな内容にあっています。
出演者やスタッフのインタビューなど、特典映像も充実しています。
(車椅子でインタビューに答えるリーブ氏は痛々しいですが、今となっては貴重な映像です)
舞台になったホテルで毎年ファン集会が開かれているというエピソードなど、
小品ながらファンに愛され続けているのがよくわかります。

『ある日どこかで』 オリジナル・サウンドトラック
素晴らしいのひとこと。映画を見ていなくとも、これ単体でも価値のある非常に美しい音楽です。
劇中で印象的に使われる、ラフマニノフのラプソディーも収録。

原作小説『ある日どこかで』
映画との一番の違いは、主人公が脳腫瘍で、しかも余命いくばくもないと自覚している、という設定。
彼のタイムトラベルが現実に起こったのか、それとも病気から来る幻覚なのか…というところを
あいまいにしているのが リアルで、焦燥感と加速する感情にぐいぐいと引き込まれます。泣けます。
個人的には映画版より魅力を感じました。

"クリストファー・リーブ"へもどる