お試し読み
(3) I Am Your Man -Locking SHERLOCK-
レビュー+漫画
I Am Your Man
-Locking SHERLOCK-
(A5・プリンタ印刷・40ページ)
400円 2012年5月発行
PAL版DVDでのシーズン2レビューがメイン+ギャグ漫画少し。
発行のタイミング的に本筋のネタバレはなしにしたので、
重箱のスミな萌え話や深読み、トリビア、
いい台詞ちょっぴり…などに特化しております。(笑)
ネタバレ自粛でストーリーにあまり触れられない代わり(?)に、
差しさわりのない範囲で原作のご紹介、キャスト・スタッフ等のデータを加えました。
ギャグ漫画はシーズン2ネタと、ムーパラのSHELROCKプチオンリーで
アンソロジーに描かせていただいた
ポケットサイズジョンのスピンオフ(?)です。(笑)
もくじ シャーロック シーズン2レビュー ●第2話 The Hounds of Baskerville ●第3話 The Reichenbach Fall
●漫画 リトル・ジョンの冒険 ●あとがき |
漫画
↓漫画『そう思ってたのか?』 より
↓漫画『リトル・ジョンの冒険』 より
本文見本
(第1話 A Scandal in Belgravia レビュー冒頭部分)
(横組み表示に変換しています。実物は縦組みです)
トビラページ データページ
第一話 "A Scandal in Belgravia" 正直、見た直後は感想が書けませんでした。打ちのめされた感じで、真っ白に燃え尽きました。楽しくて過激でセクシーで、ある意味冷酷で…そしてクールで泣ける一本。けっこうヘビーです。一つのエピソードにこれほどたくさんの要素を詰め込んで、ムリヤリと感じさせないのがすごい。すばらしい出来です! シーズン1の最後を見たあとだと、当然クリフハンガーが気になるところですが…今回のエピソードへと無理なくつながります。こういうやり方もあるんだね、とベンキョーになります。(笑) ストーリーは原作の『ボヘミアの醜聞』を脚色したもの…ではあるんですが、原作から抽出したストーリーは三分の一くらいで終わってしまいます。そのあとが眼目というか、このシリーズの面目躍如ですね。このドラマが実はどういうテーマなのかが、ここでわかります。「名探偵が事件を解決する話」ではまったくないんですよね。 原作を知らない人はもちろん、知っている視聴者(おそらくイギリスではほとんどの人)でも「え、これからどうなるの!?」と楽しめるように、でもちゃんと「ああなるほど、原作から発展させたんだな…」と納得できて、かつ「でもこれほどとは!」と感服するという…もちろん前シーズンもそうでしたが、。テレビドラマの進化の最先端を見る思いです。
原作通り、ある身分の高い人物と一緒に撮った「公表したら差し障りのある写真」を持っている美しい女性…それがアイリーン・アドラーで、シャーロックはその写真を奪うことを依頼されます。依頼人のアレンジはまた現代風にしゃれていて、ここもまたヒジョーに面白いシーンになってますので、お楽しみに!(ここはほとんどコメディーで、ここだけでも見返したくなってしまいます!「依頼を受けるまで」にこんなにアイデアと、ぶっちゃけお金が(笑)使われているなんて…♪)
原作ではアイリーン・アドラーはオペラ歌手ですが、現代版はそうではありません。これはオープニングの前にわかりますが、そのアイデアの「さらし方」自体がクールなので伏せておきます。(「おおっ、そうきましたか!」の瞬間もニクイ演出です♪) それだけでなく、人の内面を読みとる能力が半端でないアイリーン。ここは原作のアイリーンではとくに描かれていない要素で、現代版アイリーンのオリジナリティーといえます。彼女はその特殊な武器…彼女の言葉を借りれば「私は彼の好きなものを知っている」…を使って、いろいろな情報を手に入れます。 彼女の武器は自分を守るためのものでもあります。ここは原作もそうです。
思えば、ヴィクトリア朝時代に人前で歌い、金持ちの客に目をかけられ、その客とつきあって貢がせていたアイリーン・アドラーは、現代に置き直せばこれくらいの「上流階級的いかがわしさ」とインパクトを持ったキャラクターだったのだと、逆に理解させられます。ドイルせんせの大衆作家としてのアイデアマンぶりは、やっぱりすごかったんですね(笑)。 だからある意味「ものすごくまっとうな」脚色といえるんですが…それは見た側の後知恵。このアイデアにはほんとに脱帽です。考え付きませんですよ、簡単には。とくに原作のファンだと、あのイメージから自由になるのは難しいと思います。ただそこから離れるのじゃなくて、しっかり原作の芯の部分を継承というか、そこから発展させているのがニクイところです。 彼女がシャーロックと互角に張り合える…否、ある部分でシャーロックを超えているのも原作どおりです。彼女はシャーロックへのお世辞半分に(?)…… ・・・・・・ |