お試し読み
(3) I Am Your Man -Locking SHERLOCK-

レビュー+漫画
I Am Your Man
-Locking SHERLOCK- 
(A5・プリンタ印刷・40ページ)
400円 2012年5月発行

PAL版DVDでのシーズン2レビューがメイン+ギャグ漫画少し。
発行のタイミング的に本筋のネタバレはなしにしたので、
重箱のスミな萌え話や深読み、トリビア、
いい台詞ちょっぴり…などに特化
しております。(笑)

ネタバレ自粛でストーリーにあまり触れられない代わり(?)に、
差しさわりのない範囲で原作のご紹介、キャスト・スタッフ等のデータを加えました。
ギャグ漫画はシーズン2ネタと、ムーパラのSHELROCKプチオンリーで
アンソロジーに描かせていただいた ポケットサイズジョンのスピンオフ(?)です。(笑)


もくじ

シャーロック シーズン2レビュー
●第1話 A Scandal in Belgravia
漫画 おそるべきアイリーン・アドラー

●第2話 The Hounds of Baskerville
ヘンリー・ナイトの謎
漫画 「…そう思ってたのか?」

●第3話 The Reichenbach Fall

 

●漫画 リトル・ジョンの冒険

●あとがき

漫画

↓漫画『そう思ってたのか?』 より

漫画『リトル・ジョンの冒険』 より

 

本文見本
  (第1話 A Scandal in Belgravia レビュー冒頭部分)
(横組み表示に変換しています。実物は縦組みです)

トビラページ

データページ

脚本 スティーヴン・モファット
監督 ポール・マクギガン

おもなゲスト出演

アイリーン・アドラー/ララ・パルヴァー
ジム・モリアーテイー/アンドリュー・スコット
モリー・フーパー/ルー・ブレーリー

イギリス放映日 2012年1月1日 BBC1

原作 A Scandal in Bohemia (ボヘミアの醜聞)

From “The Adventures of Sherlock Holmes”
(『シャーロック・ホームズの冒険』 所収)

初出 1891年7月 ストランド・マガジン

原作のあらすじ
シャーロック・ホームズは、身分の高そうな覆面の人物から依頼を受ける。その人物は結婚を間近に控えており、以前関係をもったオペラ歌手、アイリーン・アドラーに脅されることを恐れていた。彼女は彼と一緒に映っている写真を持っているのである。さまざまな手を尽くして写真を取り戻そうとしたが、写真の隠し場所がわからず、ホームズを頼ってきたのである。

依頼を引き受けたホームズは、アイリーンについて調べ始める。その後ホームズは写真のありかを特定するために一計を案じ、ワトスンにあることを頼む。「良い理由のためならば」とワトスンは承知する。

ホームズは牧師に変装し、ワトスンをともなってアイリーンの家に向かう。果たしてホームズは、どうやって写真の隠し場所をつきとめようというのだろうか…?

第一話 "A Scandal in Belgravia"

  正直、見た直後は感想が書けませんでした。打ちのめされた感じで、真っ白に燃え尽きました。楽しくて過激でセクシーで、ある意味冷酷で…そしてクールで泣ける一本。けっこうヘビーです。一つのエピソードにこれほどたくさんの要素を詰め込んで、ムリヤリと感じさせないのがすごい。すばらしい出来です!

シーズン1の最後を見たあとだと、当然クリフハンガーが気になるところですが…今回のエピソードへと無理なくつながります。こういうやり方もあるんだね、とベンキョーになります。(笑)

ストーリーは原作の『ボヘミアの醜聞』を脚色したもの…ではあるんですが、原作から抽出したストーリーは三分の一くらいで終わってしまいます。そのあとが眼目というか、このシリーズの面目躍如ですね。このドラマが実はどういうテーマなのかが、ここでわかります。「名探偵が事件を解決する話」ではまったくないんですよね。

原作を知らない人はもちろん、知っている視聴者(おそらくイギリスではほとんどの人)でも「え、これからどうなるの!?」と楽しめるように、でもちゃんと「ああなるほど、原作から発展させたんだな…」と納得できて、かつ「でもこれほどとは!」と感服するという…もちろん前シーズンもそうでしたが、。テレビドラマの進化の最先端を見る思いです。

 

原作通り、ある身分の高い人物と一緒に撮った「公表したら差し障りのある写真」を持っている美しい女性…それがアイリーン・アドラーで、シャーロックはその写真を奪うことを依頼されます。依頼人のアレンジはまた現代風にしゃれていて、ここもまたヒジョーに面白いシーンになってますので、お楽しみに!(ここはほとんどコメディーで、ここだけでも見返したくなってしまいます!「依頼を受けるまで」にこんなにアイデアと、ぶっちゃけお金が(笑)使われているなんて…♪)

 

原作ではアイリーン・アドラーはオペラ歌手ですが、現代版はそうではありません。これはオープニングの前にわかりますが、そのアイデアの「さらし方」自体がクールなので伏せておきます。(「おおっ、そうきましたか!」の瞬間もニクイ演出です♪)

それだけでなく、人の内面を読みとる能力が半端でないアイリーン。ここは原作のアイリーンではとくに描かれていない要素で、現代版アイリーンのオリジナリティーといえます。彼女はその特殊な武器…彼女の言葉を借りれば「私は彼の好きなものを知っている」…を使って、いろいろな情報を手に入れます。

彼女の武器は自分を守るためのものでもあります。ここは原作もそうです。

 

思えば、ヴィクトリア朝時代に人前で歌い、金持ちの客に目をかけられ、その客とつきあって貢がせていたアイリーン・アドラーは、現代に置き直せばこれくらいの「上流階級的いかがわしさ」インパクトを持ったキャラクターだったのだと、逆に理解させられます。ドイルせんせの大衆作家としてのアイデアマンぶりは、やっぱりすごかったんですね(笑)。

だからある意味「ものすごくまっとうな」脚色といえるんですが…それは見た側の後知恵。このアイデアにはほんとに脱帽です。考え付きませんですよ、簡単には。とくに原作のファンだと、あのイメージから自由になるのは難しいと思います。ただそこから離れるのじゃなくて、しっかり原作の芯の部分を継承というか、そこから発展させているのがニクイところです。

彼女がシャーロックと互角に張り合える…否、ある部分でシャーロックを超えているのも原作どおりです。彼女はシャーロックへのお世辞半分に(?)……

・・・・・・

 

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