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洋画レビュー約40連発
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目次
(レビュータイトル)


◆ジョナサン・アリス出演作品
『Tutankhamun(ツタンカーメン)』(2016)  
「つなぐ。」/『ローグワン スターウォーズストーリー』(2016)
「幸い僕は植物学者」+アリスさん確認(涙)/『オデッセイ』(2015)
火星の人のDIY/『オデッセイ』アンディ・ウィアーとマット・デイモン
◆エドワード・スノーデン関連作品
『スノーデン』(2017)                    13
『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2013)

◆その他
『ブラック・シー』(2014)
 『プレッシャー』(2015)
『For Those in Peril』(2013)
『山猫』(1963) 
『ブラジルから来た少年』(1978)
『ハンナ・アーレント』(2012)
『パリは燃えているか』(1966)
『フィフス・エステート: 世界から狙われた男』(2013)
『ぼくを葬る(おくる)』(2005)
『さらば友よ』(1968) 
『終着駅 トルストイ最後の旅』(2009)
『キル・ユア・ダーリン』(2013)
『パーティ』(1968)
『料理長(シェフ)殿、ご用心』(1978)
『トランス』(2013)
『パットン将軍最後の日々』<TVM> (1985)
『フェイズ IV/戦慄! 昆虫パニック』(1973)
『J・エドガー』(2011)
『ジャンパー』(2008) 
『崖っぷちの男』(2011)
『スノーピアサー』(2013)

◆追悼ジョン・ハート

◆書下ろし追加・ひとくち感想集
『ザ・ディープ』(2012)
『パイオニア』(2013)
『ヘッドハンター』(2011)
『ヴィクター・フランケンシュタイン』(2015)
『歌え!フィッシャーマン』(2011)
『スティーヴ・ジョブズ』(2015)
『クリムゾン・ピーク』(2015)
『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)
『キャビン』(2011)
『U-571』(2000)
『迷子の警察音楽隊』(2007)
『誰よりも狙われた男』(2013)

◆JUNE GARDENペーパー再録
極上JUNE/『イヴ・サンローランへの手紙』+伝記映画二本
『イヴ・サンローラン』(2014)『サンローラン』(2014) 

 

本文サンプル

『オデッセイ』アンディ・ウィアーとマット・デイモン

映画『オデッセイ』周辺についていろいろ書きます。(パンフは買ってないので、そちらと重複してることをさも新しげに書いてるとか(^^;)、あるいはそちらですでに説明されてる疑問とか呈してましたらご容赦下さい)

初日に見に行きましてすごく面白かったんですが、ここは創作・作品関連の話題に絞るブログなので、ミーハーネタ(ちょい役で出ているジョナサン・アリスさん等)は個人ブログのほうできゃーきゃー騒ぐとして(笑)、こちらで書きたいのは…やはり原作の『火星の人』が、もともとはkindleで出された個人出版本だというところです。映画公開前に英語圏のTwitterで流れてきまして、へえ、と思ってご本人のサイトを見に行きました。最初に『火星の人』の日本での紹介を目にしたときには知らなかったので、ちょっと驚きました。

作者のアンディ・ウィアーさんはもともと作家志望だったそうで、『火星の人』は自分のサイトで少しずつ公開していたものを読者さんのリクエストでkindleでまとめて出し、ダウンロード数が多かったため目立って、それを出版社(しかもSF系ではない所)が紙で出し、それが目を引いて映画化という流れだそうです。kindleの部分だけは親近感が湧くものの、15歳で国の組織に雇われたプログラマーさん、というちょっとした天才らしいので、お若いけど雲の上の人ですね(笑)。もともと売り込もうとしてではなく、楽しみながらやっていたというのもいいなーと思います。

(「出版社・配給会社によって」、マーケティング戦略として受けのよさそうな「純真DIY物語」が強調・あるいは過度に演出されている可能性も考えないわけではありませんが、そのへんは今は勘繰らないことにします。たとえそうだとしても自分には舞台裏など知りようがないですから。素直に素直に(笑))

お話をすっ飛ばしてしまいましたが、平たく言うと火星に一人取り残された主人公マーク・ワトニーが創意工夫でサバイバルするお話…なんですが、大きな魅力はワトニーのキャラクターとリアルなディテールでしょう。他のトーンもリアルなのにユーモラスでサバサバしてて、気持ちよかったです(笑)。たとえば、自分が映画の中ですごくおもしろかったシーンの一つは、ワトニーを帰還させる計画を思いつく若い天才君が、NASAの長官の名前を知らない、という一瞬笑えたところでした。原作にあるシーンかどうかは知りませんが、作者さんのプロフィールを読むと、そういう気持ちのいい反骨精神(むしろ権威筋を気にも止めていない感じ)というか、カジュアルな天才さんたちの「空気」はじかに吸ってる方なんだろうなー、なんて印象を受けました。

ワトニーは映画のなかですごく実務的・前向きな姿勢を維持していて、「幸い…」という台詞が何度か出てきます。これ、頭のなかでつぶやいてみるとすごく実感できるんですけど、自然に「この状況のなかで少なくとも使える部分」を脳内検索する効果がありますね。一見お門違いのことでも、そこから問題への別のアプローチが見えてきたりするんですよ。映画見てから勝手に「ワトニズム」と称して意識してやってます。すごく低レベルですけど。「…幸い、私は日本語ペラペラ」とか、「…幸い、今日は雨降ってない」とか。(笑)

(後略)

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